Global Greens 2017 in Liverpool 日本派遣団ブログ

第四回Global Greens Congress in Liverpool 日本派遣団のブログです。

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3日目 分科会報告 権威主義・独裁主義と対峙するソーシャルメディア

「FBなどのSNSを使って抑圧的な政権に対してどう立ち向かっていくか」といった趣のものでした。ポピュリズムや差別的な言動の広がりに対してソーシャルメディアをどう使っていくかについても活発に議論されました。

大変な早口で行われたセッションで、通訳さんを介してもなお、大まかな内容しか理解できませんでしたが、おおよそ以下のような内容だったと思います。

講師はイタリアのタチアナ博士(専門がソーシャルメディアと言っていたと思います。帰国後確認します)。

彼女はdisruption(「中から邪魔をする」くらいの意味か?)という概念を用いて、SNS戦略に関しての持論を展開されていました。

印象的だったのは、SNSの限界と利点を熟知する必要性を強調していたこと。

例えばアラブの春では、SNSは人々にどんな権利があるのかを知らせるために役立った。

しかし、SNSによってアラブの春が起きたわけではなく、実際に行動を起こした人によって起きたのであって、SNSの万能論に陥らないことは重要と彼女は言います。

ごく常識的な見解のようにも思いますが、繰り返し言及されていたところから、

海外でもSNS万能論に陥りがちな論調があることが見て取れました。

弾圧を受けないネットワークをつくって

政府からの抑圧や干渉をどうかわすかといった、緊迫感ある、そして今後日本でも必要性が高まるかもしれない話題についても話されました。

そして抗議活動などをどう効果的に展開するかについても。

シリアスな情報はSNSでは好かれないので、反対を声高に唱えるよりも、

ポジティブなやり方が必要とされる。ファクトチェックは効果的、

などといったコメントが参加者からいくつもあがりました。

主にトランプ現象を意識したコメントが多かったように思いますが、

日本で私たちが日頃話しあったり、直面しているのと同様の問題意識が

世界のアクティビストの間でも同様に共有されていることがわかりました。

 

共通のツールをプラットフォームとして活用する「SNSと政治」という話題は、数ある分科会テーマの中でも課題や問題意識を世界中で共有しやすいものかもしれず、逆に言うとさほどの目新しさはなく、むしろどの国でも同様の問題に悩みながら模索を続けているのだなということに励まされました。

個人的にやや示唆的に感じたのは、「体制側は上手にフェイクニュースをつくれる人たちを擁している。そこに自分たちが対抗していくにはポジティブなものをつくろうとすること、真実や事実をポジティブに用いていくことが大事」といった話でした。

これはその場で発言した質問者なども一致した意見のようでした。

 

ポジティブなdisruption一つの例として、2008年にイタリアの教育大臣をやめさせた、イタリアの学生たちの運動を紹介されました。学生がその教育相のニセアカウント(HPやFBアカウントとと言っていたと思います)、本来あるべき教育のあり方についての発信を始めた。数週間にわたって抗議活動が行われ、広がり、辞任に追い込んだ、とのことでした。

 

余談ですが、午前のポピュリズムと民主主義に関する分科会でも、ポピュリズムにどう対峙していくかについてが中心的な話題の一つとなり、「ポピュリストを頭から排除しようとせず、尊重し理解しようという態度が大事」といったことをポーランドのパネリストが語った際にひときわ大きな拍手が上がった一コマがありました。こうしたオープンさ、お互いに尊重しあうことを重視する態度は、GGREENSに特徴的だと思います。

(石崎大望

写真下は発言する筆者。3.11震災後の日本のソーシャルメディアの可能性、危険性を紹介して質問した。

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