2日目 分科会報告 貿易セッション 長谷川羽衣子共同代表が発言(本人より報告)
速報として写真を中心に掲載します。
参加者
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Reinhard Bütikofer (Germany) ヨーロッパグリーンズの共同代表
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Richard Di Natale (Australia)
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Tanoh GyeKye (Ghana)
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Uiko Hasegawa (Japan)
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Caroline Lucas (UK)
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Elizabeth May (Canada) と各国のそうそうたるメンバーでした。
昨日は日本のグローバル・グリーンズ派遣団にとって最大のイベントである、核のセッションと貿易に関するディスカッションを無事終えることができました。
貿易のディスカッションは、イギリス、カナダ、オーストラリア、ドイツの国会議員/元国会議員と、ガーナ(非政府組織代表)、そして私、というメンバーがパネラーとして登壇しました。
国会議員が4人、そのうち3人はネイティブなので、猛烈な勢いで議論が進み、通訳の方も私もついて行くのに苦しみました。保護貿易か自由貿易か、貿易と環境は矛盾しないか、貿易協定は肯定できるのか、TPPやNAFTA、GATTに対する評価など、議論は多岐に渡りました。何とか、日本の貿易に関する歴史的教訓をお話しし、トランプ流の保護貿易にはもちろん反対だが、歴史的に見て先進国は強い保護貿易政策のもとで経済発展をとげた事実を踏まえ、途上国に自由貿易を強制するべきではないこと、公正で適切に規制されたフェアな貿易を求めるべきことを主張しました。そして、そのための具体的な手段、国際的な税、条約、規制などの導入が必要だと訴えました。最初はスピーチの予定だったのに、数日前にディスカッションに変更、さらに話す内容についても前日に修正が来たり、猛烈なスピードについて行くのに必死で発言回数は多くありませんでしたが、貿易について学び、こちらの考えを伝える良い機会でした。
Thank you.ロナルド・トランプは敵か?味方か?私たちは、保護主義に回帰するべきか?確かに、行き過ぎた自由貿易は地球環境に対する害悪であった。しかし、トランプ氏は温暖化対策を否定し、富裕層の蓄財のための政策を加速し、米国内でも環境破壊の悪化を加速しようとしている。トランプ流の保護主義は行き過ぎた自由貿易と同様、地球環境への脅威である。緑の党は、保護貿易主義にも、行き過ぎた貿易の自由化にも反対するべきである。私たちが目指すのは適切に規制されたフェアでオープンな国際貿易だ。私たち日本の歴史的教訓はどのようなものか?
それは、戦後の自由貿易にともなう高度経済成長と、その背後で悪化した労働条件、過労死や自殺をもたらす過酷な労働条件と、公害問題、すなわち、水俣やイタイイタイ病や大気汚染であった。きわめつけは、福島の事故である。今でも、その負の遺産に苦しむ被害者が少なくない。私たちは、貧困の除去と、人間の開発に賛成である。しかし、発展途上世界は、日本と全く同じ道をたどる必要はない。では、何が求められているのか。第1に、フェアな貿易である。先進国は、途上国の製品を受け入れ、開発を手助けする。これはいかなる経済援助にも勝るものである。ただし、生産国の環境と、労働条件の保護、そのための規制を普及させることが、前提条件である。第2に、技術と知識の移転である。公害対策技術と、環境政策に関する知識の、移転である。日本からの人材の派遣と、外国からの人材の受け入れを、ともに進めてゆく。では、私たちが共にとりくむべき、開発と貿易と環境保護のための政策とは何か? 第1に、税金である。国際的な炭素税や輸送燃料税によって、気候変動と、過剰な商品流通を抑えるとともに、ローカルの資源・商品の循環を促進する。第2に、国際資本移動のリスクの制御と、グローバルな分配公平性の実現である。国際金融取引税すなわちトービン税を実現させよう。
第3に、有害な商品や物質の貿易規制である。水銀の輸出入を規制する国際条約「水銀に関する水俣条約」に各国が批准することや、原子力技術の輸出入の禁止、そして何より兵器貿易の禁止である。第4に、グローバル・コモンズの保護である。漁業資源や野生動植物の保護である。日本はこの点に関して責任がおおきい。寿司が大好きな日本人は、世界でもっともたくさん、魚を食べている。しかも、寿司のおいしさを世界に広めることで、海洋漁業資源にさらなるプレッシャーをかけている。マグロやウナギ、それにクジラの保護についても責任が大きいことを、認識している。こうした問題について、私たちグリーンズジャパンは、解決のために、日本国内でまず声を発してゆく。世界中からも、声を上げてほしい。貿易というテーマにこそ、様々な問題が集約されている。国境を越えた連帯が可能な、緑の党が、力を発揮すべきフィールドだと思う。エコでフェアな貿易を実現するため、力を合わせよう。
どうもありがとう